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キムとは今大会で石川佳純が対戦しているし、伊藤美誠も対戦経験がある。福原は「ビデオで研究した」と語ったが、2人に特徴を聞けばより有意義な情報となったはずだ。

 その質問に、福原はこう答えた。

 「美誠に聞きました」

 でも石川には聞かなかった、と続け、理由も語った。

 「傷をえぐるみたいで……」

 石川は足のアクシデントもあり、キムに敗れた。満を持して挑んだ五輪で、上位進出を誓いながら初戦で敗れた石川のショックを慮ったのだ。

 自分の勝利だけを考えれば、福原の配慮は必要のないものだった。今大会のキムの生きた情報を石川から聞き取ることで、試合の展開は変わったかもしれない。

 しかし一方で、同じ日本代表として戦うチームメイトへの思いやりは、団体戦では強みともなりえる。

 「佳純ちゃんも、ものすごく悔しい思いをしていると思いますし、美誠も応援してくれていて、悔しい思いをしていると思います。力をあわせて、帰りたいです」

 「力をあわせて」と「帰りたい」の間には、おそらくは「メダルを取って」の言葉がある。

 福原は、自身の悔しさと、チームメイトへの思いをかけて団体戦に挑む。

福原愛「傷をえぐるみたいで……」キム対策を石川に聞かなかった理由。

必死に涙をこらえていた。涙がこぼれそうになるのを、抑えようと努めていた。  オリンピック4度目の出場で初めてベスト4に進出した福原愛は、8月10日の午前10時から行われた準決勝で、ロンドン五輪金メダリストの李暁霞(中国)に0-4で敗北した。